顧客訪問型小売業では「組織と人材(人財)」も‥

後継者が事業を継承(承継)する第三の財産は「組織と人材(人財)」です。複数のヒトが同じ目的で協働する集まりを組織と呼びます。地域店のもっとも基礎的な組織形態、夫婦ふたりの会社でもふたりのヒトがいるから組織です。その全構成員(従業者)を人材といいます。特に顧客訪問型小売業では継承した人材は貴重な財産です。人材ではなく「人財」と考えることが大切です。

「組織と人材(人財)」も厳密な意味では「金銭での評価が困難に財産」に含まれますが、特に顧客訪問型小売業(=地域店)では、現在のように人手不足、求人難の時代には人材を重視する必要性が高いことから、この講座では第三の財産としました。特に正社員はそれこそ「人財」です。

地域店の売上高を算出する計算式は‥
売上高=1人当り売上高×顧客訪問人員数(社員サイドからの計算式)
売上高=1世帯当り売上高×顧客訪問件数(顧客サイドからの計算式)
‥などがあります。

「1人当りの売上高」及び「1世帯当り売上高」とも人材の質に大きく影響されます。店舗集客型小売業でももちろん接客力が「1人当りの売上高」と相関関係を持ってはいますが、顧客訪問型小売業(=地域店)のように決定的な要素とはいえません店舗集客型小売業。の中でセルフサービス店では接客力が売上高に与える影響はわずかです。最近登場してきた無人店舗になるとほぼ無関係になります。

前経営者から引き継いだ社員のほとんどは自分より年上かつ長いキャリアを持ち、しかも売上実績は高いというのが実態で、多くの後継者からは「使いにくい」という声を聞きます。確かに「使いにくい」のは事実ですが、退職してしまっては上記の計算式を土台から崩すことになりかねません。

人材は「人財」で財産なのです。組織運営・「人財」活用のノウハウを収得し、それを駆使することでこの財産を有効活用する工夫をします。

次回に続く