リフォームへの支出額は高齢世帯が多い

地域店の主力商品は家電品ですが、売上を伸ばしている会社(地域店)の多くはリフォームに積極的に取組んでいます。地域店後継者が「繁栄のピラミッド」(第Ⅳ章参照)を構築・推進しようとする時、家電品のみでは早晩客単価の上限に直面します。その壁を乗り越えるには商品戦略の見直し(=取組み商品の幅の拡大)が不可欠です。その第一候補が住設機器を含むリフォーム分野です。

リフォームの市場規模については確たる数値は「不明」というのが実態です。事実、各種調査機関・調査会社が実績・予測を発表していますが、その数値はまちまちです。リフォームの定義や範囲が異なっているのが主要因ですが、「家電品の市場規模とほぼ一致する」「戸建て持ち家では家電品を上回る」と見てほぼ間違いありません。

総務省「家計調査」では既築住宅関連への支出を補修・修繕材料の購入、畳替え、火災・地震保険料、植木・庭手入れ等まで幅広く収録しています。火災・地震保険料と植木・庭手入れ代等通常はリフォームに含めないものを除外して「リフォームへの支出金額」をまとめたもの(推計)が図Ⅰ-3です。ここには施主が工事材料を購入し自らが施工したもの、また小規模な修理・営繕をも含んでおり、実態よりやや高めになっていると判断されます。

図Ⅰ-3 世帯主の年齢階級別リフォームへの支出(年)

このようにして算出された二人以上世帯の「リフォーム」への年間支出金額(2018年)は86,187円です。これを世帯主の年齢階級別に見ると「~29歳」は4,500円と支出額はわずかです。持ち家比率が低いことも反映している模様です。「30~39歳」の支出は30,084円、「~29歳」と比較すると支出金額はかなり増加します。そして40代、50代と次第に上昇し、「60~69歳」でピークに達し、その金額は120,000円を突破しています。「70歳~」はやや低下していますが、それでも100,000円台をキープしています。「居住者の高齢化」は「住まい(住宅)の高齢化」と一致します。ふたつの高齢化とともにリフォームへの支出は増加しているのです。

中心客層が高齢者の地域店にとっては家電品と同様に「リフォーム」も魅力的な分野といえます。

 

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