若い後継者の地域店は第二次成長期に‥

「若い後継者の地域店は第二次成長期に突入しました」。このタイトルには前提条件があります。ひとつ目の条件はタイトル通り後継者=「若い経営者」ということ、ふたつ目は「地域店」ということです。ただし、その道は平たんではありません。その道筋である自律(自立)経営の推進=自社での「繁栄のピラミッド」の構築と推進(第Ⅳ章参照)も条件に加わります。

家電量販店の業績(売上高・利益額)はこのところ「伸び悩み」に見えます。業界市場が拡大している時期こそ大型店舗(=豊富な品揃え)での出店戦略、そして低価格戦略で業績を伸ばすことができました。この二大戦略で地域店の顧客と売上を奪い、主要量販店のみで約2,500店舗で4兆円強(図Ⅰ-6-1)の売上高を確保することが可能だったのです。

図Ⅰ-6-1 家電量販店の年間販売額・商品別販売額(内数)

ところが成長を支えてきた家電市場の拡大の終焉、そして二大戦略が壁にぶつかりつつあるのが現状です。オーバーストアによる出店余地の減少とともに量販店同士の競合は同質間競争を招き、さらには自社店舗間での食い合いすら発生しています。もう一方の(地域店の顧客奪取には有効だった)低価格戦略ではWeb販売業者の低コスト経営=低売価設定に太刀打ちが困難になってきています。大型店舗開設は多額な投資が必要で、開店後は固定費(維持管理コスト)が発生します。ところがその大型店舗(リアル店舗)もWeb販売業者のショールームに利用されるようになっています。年商4兆円強の量販店のシェアは上限に近づきつつあると見ることができます。

さらに超高齢化社会の到来で、一部消費者の地域店回帰も見られます。最近マスコミで話題になっている新業態店舗への切換え、既存店舗へ家電外商品の導入や家電品を取り扱わない店舗の開設は新戦略での業績拡大=再成長への模索ともいえます。

とはいっても地域店には第二の成長期が到来し、全地域店が量販店から顧客を奪還し売上高を伸ばすことができる、これは夢物語です。地域店とは本来、狭い商圏と顧客に密着、そこの居住者に寄り添い、その生活ニーズに対応(先取り)する業態(「弱者の戦略」)なのです。その基本をしっかり押さえた上で冒頭に掲げた自律(自立)経営の推進、さらに若い発想と知識を加えての時流に合致した活動の展開が求められているのです。
参考までに量販店の商品別の売上構成比も掲げておきます(図Ⅰ-6-2)。

図Ⅰ-6-2 2018年家電量販店の部門別商品販売金額構成比

 

次回に続く